2021年9月10日金曜日

短期前払費用

短期前払費用の要件について質問をいただきました。短期前払費用の要件をまとめたいと思います。

1.短期前払費用とは

2.要件

3.具体的事例


今回は、購読料について該当するのかどうかのご質問でしたので、最初にお聞きした際には、該当しないと思っておりましたが、実際のところはWebの購読料ということで、継続的役務提供に該当するものと考えられるため、該当するという結論となりました。

最近は、定期的な購読であっても本が送られてくるのではなく、Webによるサービス提供がありますので、注意が必要ですね。また、実際の媒体が新聞の場合には、消費税率も変わってきます。新聞紙による場合には軽減8%ですが、Web購読の場合は10%ですので気を付けたいものです。

1.短期前払費用とは

(1)前払費用
 前払費用とは、法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金の額に算入すべきものです。

(2)短期前払費用
 短期前払費用は、法人税法基本通達2-2-14に規定されています。
 前払費用の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。

2.要件の整理

 上記の定義をまとめると、以下の4つの要件があります。
  1.支払った日から1年以内に発生するものであること
    4月から翌年3月までの1年間の役務提供を受ける契約を締結した場合、
    3月に支払った場合には、1年以内に終了するものなのでOKですが、
    2月に支払った場合には、1年以内に終了しないので、NGとなります。

  2.役務の提供に係るものであること
    役務の提供に該当しない新聞や雑誌の購読については、対象外になります。

  3.支払っていること
    キャッシュアウトしていることが要件で、未払計上では駄目です。

  4.継続的に損金経理していること

 これらの要件すべてを満たしていなければ、短期前払費用の適用は受けられません。

3.具体的事例

 適用可能か否かについては2の要件を確認しておけばほぼ問題ないのですが、具体的に注意しないといけないケースというのを取り上げます。

(1)弁護士や税理士の顧問料
 2の要件に照らせば、役務の提供であることは間違いないのですが、役務の提供の内容が問題になります。保守契約や保険契約などのように質的にも量的にも同程度のサービスが継続的に続くものということが前提になっていると解されており、士業の顧問料は質も量も均等に発生するとは言えないため、対象外となっています。

(2)重要性基準
 2の要件では、表面的にはわかりませんが、税務は一般に公正妥当と認められる会計基準に従っている前提ですので、重要性の高いものは資産計上は当然だという考え方です。一概にこれくらいだと重要性が高いというのは難しいですが、事実として否認されている事例があるのは気にしておく必要があります。

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