2013年2月22日金曜日

所得税理論 : 給与所得者の特定支出控除の特例

(趣旨)
 給与所得の金額は、原則として、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とするが、給与所得者が確定申告を通じて自らの所得税の課税標準等及び税額等を確定させることができる途を拓くことは、公平感の維持から重要であることから設けられている。

1 内容
 居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額(125万円限度)を超えるときは、その年分の給与所得の金額は、給与所得控除後の残額からその超える部分の金額を控除した金額とすることができる。

2 特定支出の範囲
 特定支出とは、次に掲げる支出(給与等の支払者により補てんされ、かつ、非課税とされる部分を除く。)で、給与等の支払者により証明がされたものをいう。

(1) 通勤のための支出
 通勤のために必要な交通機関の利用等のための支出で、通勤経路及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間等の事情に照らして最も経済的かつ合理的であるもののうち、通常必要であると認められる部分
(2) 転任に伴う転居費用
 転任に伴う転居のために、通常必要であると認められる支出
(3) 職務の遂行に直接必要な技術等の研修費用
 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修((4)の資格取得のためのものを除く。)のための支出
(4) 資格取得のための支出
 資格を取得するための支出で、職務の遂行に直接必要なもの
(5) 単身赴任者の帰郷等の旅費
 転任に伴い生計を一にする配偶者等との別居を常況とすることとなった者が、勤務場所等と配偶者等が居住する場所との間の旅行に、通常要する支出
(6) 書籍等の購入又は交際費等の支出
 書籍等の購入費用又は交際費等の支出で、職務の遂行に直接必要なもの(65万円限度)

3 申告要件
 この規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書にこの規定の適用を受ける旨、特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、特定支出に関する明細書等の添付がある場合に限り適用する。

2013年2月21日木曜日

相続税理論 : 遺産に係る基礎控除及び相続税の総額

1 遺産に係る基礎控除
 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注)の合計額から5,000万円と1,000万円にその被相続人の法定相続人の数を乗じて得た金額との合計額を控除する。

2 法定相続人の数
(1) 法定相続人の数
 法定相続人の数は、被相続人の法定相続人の数(その被相続人に養子がある場合の法定相続人の数に算入する養子の数は、次の区分に応じそれぞれの養子の数に限るものとし、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とする。)とする。
①その被相続人に実子がある場合又はその被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合・・・1人
②その被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合・・・2人

(2) 実子とみなされる者
 (1)の規定の適用については、次の者は実子とみなす。
① 民法に規定する特別養子縁組による養子となった者、その被相続人の配偶者の実子でその被相続人の養子となった者等
② 実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため法定相続人となったその者の直系卑属

3 相続税の総額
 相続税の総額は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注)の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額をその被相続人の法定相続人の数に応じた相続人が法定相続分及び代襲相続分に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額につきそれぞれ相続税の超過累進税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。

4 法定相続人の数に算入される養子の数の否認
 2(1)の場合においてそれぞれの養子の数を2(1)の法定相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、その養子の数をその法定相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(注)及び相続税額を計算することができる。

(注)被相続人からの相続の開始前3年以内の贈与財産及び相続時精算課税適用財産の価額を相続税の課税価格に加算した相続税の課税価格とみなされた金額

相続税理論 : 特別の法人から受ける利益に対する課税

特別の法人から受ける利益に対する課税
 持分の定めのない法人で、その施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属等について設立者、社員、理事、監事若しくは評議員、その法人に対し贈与若しくは遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と特別の関係がある者に対し特別の利益を与えるものに対して財産の贈与又は遺贈があった場合においては、持分の定めのない法人に対する課税の規定の適用がある場合を除くほか、その財産の贈与又は遺贈があった時において、その法人から特別の利益を受ける者が、その財産の贈与又は遺贈により受ける利益の価額に相当する金額をその財産の贈与又は遺贈をした者から贈与又は遺贈により取得したものとみなす。

2013年2月17日日曜日

相続税理論 : 人格のない社団等及び持分のない法人に対する課税

1 人格のない社団等に対する課税
 人格のない社団等に対し財産の贈与又は遺贈があった場合においては、その社団等を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。

2 持分の定めのない法人に対する課税
 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において、その贈与又は遺贈によりその贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、その法人を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。

3 贈与税額又は相続税額の計算
(1) 贈与税額の計算方法
 1又は2の場合においては、贈与により取得した財産について、贈与者の異なるごとに、その贈与者の各1人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の贈与税額の合計額をもって1の社団等又は2の法人の納付すべき贈与税額とする。
(2) 法人税等相当額の控除
 1の社団等又は2の法人に課される贈与税又は相続税の額については、1の社団等又は2の法人に課されるべき法人税等の額に相当する額を控除する。

4 住所の判定
 1から3の場合において、相続税又は贈与税の納税義務者の規定の適用については、1の社団等又は2の法人の住所は、主たる営業所又は事務所の所在地にあるものとみなす。

相続税理論 : 遺産に係る基礎控除及び相続税の総額

1 遺産に係る基礎控除
 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注)の合計額から、5,000万円と1,000万円にその被相続人の法定相続人の数を乗じて得た金額との合計額を控除する。

2 法定相続人の数
(1) 法定相続人の数
 法定相続人の数は、被相続人の法定相続人の数(その被相続人に養子がある場合の法定相続人の数に算入する養子の数は、次の区分に応じそれぞれの養子の数に限るものとし、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とする。)とする。
①その被相続人に実子がある場合又はその被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合・・・1人
②その被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合・・・2人
(2) 実子とみなされる者
 (1)の規定の適用については、次の者は実子とみなす。
① 民法に規定する特別養子縁組による養子となった者、その被相続人の配偶者の実子でその被相続人の養子となった者等
② 実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため法定相続人となったその者の直系卑属

3 相続税の総額
 相続税の総額は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注)の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額をその被相続人の法定相続人の数に応じた相続人が法定相続分及び代襲相続分に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額につきそれぞれ相続税の超過累進税率を乗じて算出した金額を合計した金額とする。

4 法定相続人の数に算入される養子の数の否認
 2(1)の場合においてそれぞれの養子の数を2(1)の法定相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、その養子の数をその法定相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(注)及び相続税額を計算することができる。

(注)被相続人からの相続の開始前3年以内の贈与財産及び相続時精算課税適用財産の価額を相続税の課税価格に加算した後の相続税の課税価格とみなされた金額

2013年2月12日火曜日

所得税理論 : 扶養控除

1 内容
 居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の課税標準から、控除対象扶養親族1人につき38万円(特定扶養親族は63万円、同居老親等は58万円、その他の老人扶養親族は48万円)を控除する。

2 扶養親族の意義
(1) 扶養親族とは、居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法の規定により里親に委託された児童及び老人福祉法の規定により養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者で給与の支払を受けるもの及び事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう。
(注)合計所得金額とは、損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合における課税標準の合計額をいう。

(2) 控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢16歳以上の者をいう。
(3) 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の者をいう。
(4) 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の者をいう。
(5) 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、居住者又はその居住者の配偶者の直系尊属で、かつ、その居住者又はその配偶者のいずれかとの同居を常況としている者をいう。

3 判定の時期
 その者が居住者の扶養親族等に該当するかどうかの判定は、その年12月31日(その居住者が年の中途において死亡又は出国する場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。
 ただし、その判定に係る親族等が既に死亡している場合は、その死亡の時の現況による。

4 2以上の居住者がある場合の所属
 2以上の居住者の扶養親族に該当する者がある場合には、その者は、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなす。

5 控除の順序
(1) 所得控除のうちに雑損控除がある場合には、まず雑損控除を行うものとする。
(2) 扶養控除額は、総所得金額、措置法の課税標準、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。

2013年2月11日月曜日

証券投資信託に関する消費税


顧問先の法人にて証券投資信託の購入があった。
この投信は、毎月分配型であったため、毎月分配金が発生していた。
その後、売却したとのことだった。

消費税ってどうなるんだっけ?

まずは、購入の際
 投信の購入 : 資産の取得となるため消費税は非課税仕入。まぁ関係なし。
 購入手数料 : 課税仕入
         だけど、非課税売上対応仕入なので、個別対応方式だと要注意

次に、分配金の受取の際
 普通分配金 : 非課税売上(利息とかと同じ取扱いだね。)
 特別分配金 : うーん。悩みどころ。特別分配金は、元本の払い戻しなので、不課税
         (結局、対価性がなく、資産の譲渡等に該当しないんだね。)

最後に、売却(解約)の際
 証券投資信託では「買取請求」と「解約」の取り扱いがあるが、
 それぞれ、消費税の取扱いが異なる。
  「買取請求」 : 非課税売上(課税売上割合の計算上は5%を乗じる)
  「解約」   : 不課税(対価性がなく、資産の譲渡等に該当しない。)

 ※ ちなみに、最後に精算される分配金もあるけど、上記の普通分配金と同じ。

解約にするか買取請求にするかは、大きく違うね。
5%といえど、大きな金額になることがあるので、消費税額が大きく変わってしまうことが・・・。

実務上は大事だね。注意しよ。

相続税理論 : 在外財産に対する相続税額の控除

在外財産に対する相続税額の控除
 相続又は遺贈(相続開始の年において被相続人から受けた贈与を含む。以下同じ。)により法施行地外にある財産を取得した場合において、その財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは、その財産を取得した者については、算出相続税額(相続税額の加算から相次相続控除までの規定を適用した後の金額。以下同じ。)からその課せられた税額に相当する金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。
 ただし、その控除すべき金額が、次の算式により算出した金額を超える場合においては、その超える部分の金額については、その控除をしない。

(算式)
算出相続税額 × 法施行地外にある財産の価額/その相続又は遺贈により取得した財産(相続時精算課税適用財産を含む。)の価額のうち課税価格計算の基礎に算入された部分

相続税理論 : 相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額

1 生前贈与加算
 相続又は遺贈により財産を取得した者がその相続の開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、その贈与により取得した財産(その年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産及び相続時精算課税適用財産を除く。)に限る。以下同じ。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなす。

2 贈与税額控除
 1の場合において、その贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、算出相続税額(相続税額の加算の規定を適用した後の金額)から次の算式で算出した金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。

(算式) A×C/B

A=その年分の贈与税額(在外財産に対する贈与税額の控除適用前の税額とし、附帯税に相当する税額及び相続時精算課税に係る贈与税額を除く。)
B=その年分の贈与税の課税価格(相続時精算課税に係る課税価格を除く。)に算入された財産の価額の合計額
C=1の規定により相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額

3 特定贈与財産
 特定贈与財産とは、贈与税の配偶者控除に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与によりその被相続人の配偶者が取得した居住用不動産又は金銭で、次の区分に応じ、それぞれの部分をいう。
(1) その贈与が相続の開始の年の前年以前にされた場合で、その配偶者が贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けているとき
 贈与税の配偶者控除の規定により控除された金額に相当する部分
(2) その贈与が相続の開始の年においてされた場合で、その配偶者がその被相続人からの贈与について既に贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けた者でないとき(その配偶者が、相続税の期限内申告書(期限後申告書及び修正申告書を含む。)又は更正請求書に、一定の事項を記載し、一定の書類を添付して、これを提出した場合に限る。)
 贈与税の配偶者控除の規定の適用があるものとした場合に、控除されることとなる金額に相当する部分

2013年2月6日水曜日

相続税理論 : 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例

1 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例
 平成15年1月1日から平成26年12月31日までの間にその年1月1日において65歳未満の者からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等のための対価に充ててその新築等をした場合においては、同日までにその家屋をその特定受贈者の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なくその特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるときは、その特定受贈者については、相続時精算課税の規定を準用する。
 この場合において、相続時精算課税選択届出書を提出した特定受贈者を相続時精算課税適用者と、住宅資金贈与者を特定贈与者とみなす。

2 適用除外
 住宅取得等資金について1の規定の適用を受けた特定受贈者が、その新築等をした家屋を贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれることにより、相続時精算課税選択届出書を提出していた場合において、その家屋を同年12月31日までにその特定受贈者の居住の用に供していなかったときは、1において準用する相続時精算課税選択届出書を提出していた場合であってもその届出書を提出していなかったものとみなす。

3 手続
 1の規定は、贈与税の期限内申告書に(1)の事項を記載し、(2)の書類の添付がある場合に限り、適用する。
(1) この規定の適用を受けようとする旨
(2) 計算の明細書その他一定の書類

2013年2月5日火曜日

相続税理論 : 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

1 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
 平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間にその直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等のための対価に充ててその新築等をした場合において、同日までにその家屋をその特定受贈者の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なくその特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるときは、その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち住宅資金非課税限度額(既にこの規定の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額)までの金額については、贈与税の課税価格に算入しない。

2 適用除外
 住宅取得等資金について1の規定の適用を受けた特定受贈者が、その新築等をした家屋を贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日後遅滞なくその特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれることにより1の規定の適用を受けた場合において、その家屋を同年12月31日までにその特定受贈者の居住の用に供していなかったときは、1の規定は、適用しない。

3 手続
(1) 1の規定は、贈与税の期限内申告書に①の事項を記載し、②の書類の添付がある場合に限り、適用する。
① この規定の適用を受けようとする旨
② 計算の明細書その他一定の書類
(2) (1)の規定の適用については、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、この限りでない。

2013年2月3日日曜日

所得税理論 : 損益通算

1 原則
 課税標準を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(措置法により分離課税とされるものを除く。)があるときは、一定の順序により、これを他の各種所得の金額(措置法により分離課税とされるものを除く。)から控除する。

2 生活に通常必要でない資産に係る所得の特例
 損益通算の対象となる損失の金額のうちに、生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、その損失の金額は生じなかったものとみなす。
 ただし、競走馬(事業用を除く。)の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、その競走馬の保有に係る雑所得の金額から控除し、控除しきれないものは生じなかったものとみなす。

3 不動産所得に係る特例
 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうちに、不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額があるときは、その損失の金額のうちその負債の利子の額相当額は生じなかったものとみなす。

4 特定組合員等の不動産所得に係る特例
 特定組合員等に該当する居住者が、その組合等から生ずる不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、その損失の金額は生じなかったものとみなす。

5 損益通算の順序
損益通算は、次の順序により行う。
(1) 不動産所得の金額又は事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、これをまず経常所得の金額から控除する。
(2) 譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、これをまず一時所得の金額から控除する。
(3) (1)の場合において、控除しきれない損失の金額は、これを譲渡所得の金額及び一時所得の金額((2)の控除後の金額)から順次控除する。
(4) (2)の場合において、控除しきれない損失の金額は、これを経常所得の金額((1)の控除後の金額)から控除する。
(5) (1)から(4)までの場合において、なお控除しきれない損失の金額は、これを山林所得の金額から控除し、控除しきれない損失の金額は、退職所得の金額から控除する。
(6) 山林所得の金額の計算上生じた損失の金額は、これをまず経常所得の金額((1)又は(4)の控除後の金額)から控除し、控除しきれない損失の金額は、譲渡所得の金額及び一時所得の金額((2)又は(3)の控除後の金額)から順次控除し、なお控除しきれない損失の金額は退職所得の金額((5)の控除後の金額)から控除する。
(注1)経常所得の金額とは、利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額及び雑所得の金額をいう。
(注2)(3)、(6)において、譲渡所得の金額のうちに短期保有に係るものと長期保有に係るものがあるときは、短期保有に係るものから控除する。

6 変動所得の損失等の損益通算
 上記5の場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上生じた損失の金額のうちに変動所得の損失の金額、被災事業用資産の損失の金額又はその他の損失の金額の2以上があるときは、まず、その他の損失の金額を控除し、次に被災事業用資産の損失の金額及び変動所得の損失の金額を順次控除する。

所得税理論 : 各種所得の意義及び所得の金額

1 利子所得
(1) 利子所得とは、公社債及び預貯金の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下「利子等」という。)に係る所得をいう。
(2) 利子所得の金額は、その年中の利子等の収入金額とする。

2 配当所得
(1) 配当所得とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、基金利息並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(以下「配当等」という。)に係る所得をいう。
(2) 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額から配当所得を生ずべき元本を取得するための負債の利子の額を控除した金額とする。

3 不動産所得
(1) 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付け(地上権の設定等を含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
(2) 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

4 事業所得
(1) 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で一定のものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
(2) 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

5 給与所得
(1) 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下「給与等」という。)に係る所得をいう。
(2) 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。

6 退職所得
(1) 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下「退職手当等」という。)に係る所得をいう。
(2) 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とする。
 ただし、特定役員退職手当等は、2分の1しない金額とする。

7 山林所得
(1) 山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいう。
 ただし、山林をその取得の日以後5年以内に伐採し又は譲渡することによる所得は、事業所得又は雑所得とする。
(2) 山林所得の金額は、その年中の山林所得に係る総収入金額から必要経費を控除し、その残額から山林所得の特別控除額(最高50万円)を控除した金額とする。

8 譲渡所得
(1) 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得(棚卸資産等の譲渡及び山林の伐採又は譲渡による所得を除く。)をいう。
(2) 譲渡所得の金額は、その年中の譲渡所得に係る総収入金額から譲渡所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額(最高50万円)を控除した金額とする。

9 一時所得
(1) 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
(2) 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額(最高50万円)を控除した金額とする。

10 雑所得
(1) 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
(2) 雑所得の金額は、次に掲げる金額の合計額とする。
① その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
② その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額

所得税理論 : 配当所得の源泉徴収及び課税制度

1 源泉徴収制度
(1) 源泉徴収義務
① 居住者に対し国内において配当等の支払をする者又は国外で発行された株式等の配当等の国内における支払の取扱者は、その支払の際、その配当等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
② 剰余金の配当等については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があったものとみなして、①の規定を適用する。

(2) 源泉徴収税額
① 私募公社債等運用投資信託及び特定目的信託(社債的受益権に限る。)の収益の分配などの配当等
イ.支払をする者 配当等の額×15%
ロ.支払の取扱者 配当等の額(外国所得税額控除前の金額)×15%-外国所得税額
② 上記①以外の配当等
イ.支払をする者 配当等の額×20%
ロ.支払の取扱者 配当等の額(外国所得税額控除後の金額)×20%
(注)次の配当等の税率は、イ又はロにかかわらず、7%とする。
(イ)上場株式等の配当等(持分割合が3%以上のものを除く。)
(ロ)公募証券投資信託(特定株式投資信託を除く。)の収益の分配
(ハ)特定投資法人の投資口の配当等

(3)納税地
 源泉徴収に係る納税地は、その支払をする者の支払事務を取扱う事務所等のその支払の日における所在地(支払日以後に事務所等を移転した場合には、移転後の所在地等)とする。
 ただし、内国法人が支払う剰余金の配当等は、その支払をする者の本店又は主たる事務所の所在地とする。

2 課税制度
(1) 総合課税
 配当所得の金額は、原則として、他の所得と総合して総所得金額を構成し、超過累進税率により所得税が課税される。
 なお、剰余金の配当等については、配当控除の適用がある。
 この場合において、源泉徴収税額は、かくて申告により精算される。
(2) 源泉分離課税
 上記1(2)①に係る配当等は、15%の税率による源泉徴収税額だけで課税関係が完結し、配当控除の適用はない。
(3) 申告分離課税
 上記1(2)②(注)の配当等は、申告を要件に、他の所得と区分し、上場株式等に係る配当所得の金額として上場株式等に係る課税配当所得の金額の7%の税率により所得税が課税される。
 この場合には、配当控除の適用はなく、源泉徴収税額は、確定申告により精算される。
(4) 申告不要
 次の配当等は、確定申告しないことができる。
 この場合には、源泉徴収税額だけで課税関係が完結し、配当控除の適用はない。
① 上記1(2)②(注)の配当等
② ①以外の配当等で、1回の支払金額が、10万円(計算期間が1年でないときは、月数で按分した金額)以下であるもの

相続税(上級演習)⑤




【時間】/120分
 理論 : 分
 計算 : 分

【点数】 /100
 理論 : /50
 計算 : /50

【間違】

所得税(上級演習)⑤




【時間】/120分
 理論 : 分
 計算 : 分

【点数】 /100
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 計算 : /50

【間違】

2013年2月2日土曜日

所得税理論 : 同一生計親族が事業から受ける対価

(趣旨)
 この規定は、恣意的に所得を分散させ税負担の軽減を図ることを防止するため個人単位課税の例外として設けられている。

1 原則的取扱い
(1) 事業主の取扱い
 居住者と生計を一にする親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由によりその事業から対価の支払を受ける場合には、次のように取扱われる。
① その対価に相当する金額は、その居住者のその事業に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
② その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者のその事業に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

(2) 親族の取扱い
 上記(1)の場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき費用の額は、その各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

2 青色事業専従者給与
(1) 内容
 青色申告者と生計を一にする親族(年齢15歳未満の者を除く。)で専らその居住者の営む上記1に規定する事業に従事するもの(以下「青色事業専従者」という。)が、その事業から「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、上記1にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間その他の状況に照らし、その労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分のその事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、その青色事業専従者のその年分の給与所得に係る収入金額とする。
(2) 届出書提出
 その年分以後の各年分の所得税につき、この規定の適用を受けようとする居住者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに事業を開始等した場合には、その事業を開始等した日から2月以内)に「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3 事業専従者控除
(1) 内容
 居住者(青色申告者を除く。)と生計を一にする親族(年齢15歳未満の者を除く。)で専らその居住者の営む上記1に規定する事業に従事するもの(以下「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分のその事業に係る所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなし、かつ、その各事業専従者のその年分の給与所得に係る収入金額とみなす。
①50万円(その居住者の配偶者は86万円)
②その事業に係る所得の金額(この規定適用前、かつ、特別控除前の金額)/(その事業に係る事業専従者の数+1)
(2) 申告要件
 この規定は、確定申告書にこの規定の適用を受ける旨及び必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がある場合に限り適用する。
ただし、宥恕規定がある。

4 青色専従者等の判定
(1) 親族の年齢が15歳未満であるかどうかの判定は、原則としてその年12月31日の現況による。
(2) 親族が事業に専ら従事するかどうかの判定は、従事期間が6月を超えるかどうかによる。
ただし、青色事業専従者については、年の中途の開業等の場合には、従事可能期間の2分の1超従事すれば足りるものとする。

お腹の調子が悪い

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