山を売却した際には、木も一緒に売ることが多いかと思います。
木の売却については、少々特殊な計算で所得税が計算されることとなっています。
木って植林して管理して売却できる大きさになるまで、多くの歳月を要するわけですから、
利益も毎年経常的に出るものではないですよね。
普通に考えると、売却した木に掛かった費用(植林の費用から、管理費用、
そして伐採譲渡のための費用)を売却価額から控除した残額に課税されるわけですが、
植林から売却まで数十年ってこともあり得ますからね。
あまりに昔の費用については、資料が残ってないことも考えられるわけです。
こうした状況を踏まえて、木の譲渡については、優遇的に扱われることとなってるんですね。
まず、取得、管理費については、15年以上経過している木については概算経費の特例があり、
売却価額から譲渡に要した費用を控除した残額の50%を取得、管理費として控除できます。
一応実額の取得、管理費も選択できるので、比較して有利な方を選択することとなります。
さらに、特別控除として、50万円を控除することができるので、少しお得です。
最後に、長年かけて育ててきた木の利益が一時に発生するものなので、所得が増えると税率が
高くなる超過累進課税を採用している所得税では税額が多額になるわけですが、
これを解消するために、分離課税の5分5乗方式という課税方法をとっています。
具体的な算式は、以下の通りですが、
木の譲渡所得 ÷ 5 = A
A × 超過累進税率 = B
B × 5 = C
発生した所得を5で割ってから、超過累進税率を乗じることで、低い税率が適用されるよう
配慮されているってことですね。最後に5倍するわけですが、税率が低いので、税額も少ない。
ちなみに超過累進税率は、所得税の総合課税の超過累進税率と同じです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
これによりますと、総合課税では、195万円まで5%の税率となるところを
木の譲渡所得(山林所得)では、975万円まで5%の税率が適用されるってことです。
975万円 ÷ 5 = 195万円
195万円 × 5% = 97,500円
97,500円 × 5 = 487,500円
487,500円 ÷ 975万円 =5%なので、山林所得は975万円まで5%ですね。