社宅に関する質問を受けました。
社宅は、節税の本などでもよく取り上げられるもので、給与所得課税されない費用として
うまく使えば、従業員の所得税を増やさず、満足度を上げながら、経費を出す方法として
お勧めの方法ですね。
ただ、単純に社宅を用意して使用させるだけだと、ダメなので、ポイントを押さえましょう。
まず、そもそも従業員に対する利益の供与をするとどうなるのか?ですが、
基本的には、給与の上乗せということとなり、給与所得として計算し源泉徴収が必要です。
しかし、いくつか給与所得課税をしなくても良いよというものが認められており、
その一つとして、社宅の家賃があります。
参考までにその他のものとしては、以下のものがあります。
1.通勤費(公共機関だと実費、車通勤だと距離ごとに金額設定あり)
2.出張旅費(通常必要な範囲のみ)
3.永年勤続表彰の記念品(金銭又は金銭同等物の場合は、課税)
4.食事の支給(一定額に限る。ただし、残業等の場合は全額OK)
5.自社商品の値引販売(売価の70%か商品原価のいずれか多い金額までは値引可)
6.職務に必要な技術習得のための費用
では、社宅に話を戻しまして、
従業員から社宅の家賃相当額を受け取らない場合には、会社は従業員に対し、
その賃料相当分の利益供与を行ったこととなりますので、通常給与所得課税が必要です。
しかし、社宅として貸付けた場合に、少なくとも以下の(1)~(3)の合計の50%以上を
賃貸料収入として受け取っていれば、給与所得課税をする必要はないということとなっています。
ご自宅の固定資産税の課税標準等を参考にして、これを計算して頂くとわかりますが、
かなり安いです。この50%を従業員から受け取れば、給与所得課税されませんのでお得です。
受け取らない場合には、(1)~(3)の合計額が給与所得課税されることとなります。
もし、これを給与所得として計算せず、源泉徴収をしていない場合には、
源泉徴収漏れということで、指摘を受けることとなりますので、注意しましょう。
最後に、自社物件であれば、簡単に固定資産税の課税標準額などを知ることは簡単ですが、
借り上げ社宅のようにアパートなどを会社で借りて、従業員へ住まわしているような場合には、
固定資産税の課税標準を知ることは簡単ではありません。
このような場合のよくある対応策としては、家賃の半分以上は従業員から受け取るというもの
どんなに安い家賃の物件であっても、上記の(1)~(3)までの合計額を下回る家賃で賃貸
しているような物件は、まず無いと思われますので、このような対応が可能ということです。
とはいえ、固定資産税の課税価格ベースで計算するとかなりお安くなるわけですから、
できるだけ固定資産税の情報を入手する努力はするべきです。
可能であれば、貸主(大家さん)へ聞いてみる。教えてもらえればラッキーです。
実は、例え教えていただけないケースでも、市役所で固定資産税評価証明書を
入手することは出来ます。一応、所有者本人以外でも賃借人等は、入手可能の様です。
申請の際には、賃貸借契約書で賃借人の地位にあることを証明する書類をもっていきましょう。
最後に、無償で貸与しても給与所得課税しなくてよいケースというのがあります。
守衛さんや看護師さんのように職場を離れられない方や遠方の勤務地にて
職務に従事させる必要上提供するような家屋や部屋等については、認められます。