昨年に続き商工会議所のインボイス制度の普及事業でいくつか事業所を回っております。
去年の資料は2冊用意されておりましたが、今年は1冊になっております。
大まかな内容としては、以下の通りです。
1適格定休諸島保存方式(インボイス制度)
2適格請求書発行事業者登録制度
3適格請求書発行事業者の義務
4適格請求書の記載事項
5税額計算の方法
6電子帳簿保存制度
7税務の電子化
インボイス制度とは、消費税の納税義務者を登録制とするもので、登録をした事業者しか消費税を控除できる請求書を発行できなくなります。
消費税を控除できる請求書を「適格請求書」と言っているのですが、これがわかりにくいですよね。
例えば、小売業者は物を仕入れて販売しておりますが、販売した際に受け取った消費税(100円)から仕入れた際に支払った消費税(80円)を差し引い(控除し)て、その差額(20円)を税務署へ納めることとなっています。
これまでは、仕入れた際に相手方がどんな人であっても差し引くことができたのですが、インボイス制度では、相手が登録業者でないと差し引けなくなります。
相手方が登録業者の場合:今までと同様(100円 ‐ 80円 = 20円)
相手方が登録業者でない場合:預かった消費税100円を全額納付(80円を差し引けない)
影響の大きな変更ということになります。
影響が大きいので、時間をかけて制度の実行が考えられています。
実際にこの制度が始まるのは、令和5年10月1日です。
まだまだ先ですが登録自体は、令和3年10月1日から既に始まっています。
では、登録しなかったらどうなるのでしょうか。
登録しない場合には、消費税を控除できる請求書を発行できません。
そうすると、得意先の事業者は消費税を控除できないので、消費税分損することになります。
それだと、他で仕入れた方が得なので、お宅とは取引しない。と言われる可能性があるということです。
得意先を失わないためにも、登録をして、要件にあった請求書を発行する必要があります。
ここで問題になるのが、免税事業者です。免税事業者は、登録できないからです。
もし登録したいのであれば、課税事業者にならないといけません。
つまり、これまで消費税を丸儲けしていた事業者にとっては利益が目減りして経営が苦しくなる可能性もあります。
この辺りを総合勘案して、登録すべきかどうかの判断をしましょう。
総合勘案した結果、登録をすることとした場合でも、きちんと要件に対応した請求書を発行しないと意味がありません。
請求書には、消費税率毎の消費税額を記載しないといけなかったり、消費税率毎に合計した金額に対して消費税率を乗じて端数処理をしないといけないというルールがあります。
ルールに従った適正な請求書を発行しないと、得意先が消費税を控除できないという迷惑をかけてしまうので、注意しましょう。
さらに、虚偽の記載をした場合や、登録を受けていない事業者が控除できる請求書と誤認される請求書を発行した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります。
間違いがあった場合の訂正方法や値引きがあった場合の請求書の発行方法に関するルールも取り決められています。
間違いがあった場合:以下のいずれの方法も認められています。
訂正部分のみを記載した書類を交付する方法
訂正部分を訂正して前回と同様の書類を再度交付する方法
値引きがあった場合:以下のいずれの方法も認められています。
値引きの情報のみを記載した書類を発行する方法
通常の請求書から値引きを適用した後の金額で書類を作成する方法
まぁ、この辺りはルールを作るまでもなく、当然と言えば当然の内容ですね。
これまでもありましたが、交付が免除される場合も規定されています。
①公共交通機関の運送料(3万円未満)
②委託販売の卸売業
③農協、漁協等に委託する生産者(無条件委託共同計算方式)
④自販機の販売(3万円未満)
⑤ポストへ差し出す郵便切手類
また、請求書等の保存が無くても控除可能な場合も同様に規定されています。
①交付免除の①、④、⑤の取引
②入場券が使用の際に回収される取引
③古物商、質屋、不動産業者が古物、質物、建物を購入する取引
④再生資源業者が再生資源を購入する取引
⑤従業員への出張旅費等の支給
あとは、端数処理ですが、請求書毎の各税率毎に合計した金額に対して消費税率を乗じて端数処理をすることとなっています。
ですので、各品目ごとに消費税率を乗じて端数処理をしている請求書については、合計してから消費税を計算する方法に変更する必要があります。