2013年1月30日水曜日

所得税理論 : 雑損控除

(趣旨)
 この規定は、災害等により損害を受けたことによる担税力の減殺を考慮して設けられている。

1 内容
 居住者又はその者と生計を一にする親族でその年分の課税標準の合計額が基礎控除額以下であるものの有する資産(下記(1)に掲げるものを除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害等に関連してやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における損失の金額の合計額が足切限度額を超えるときは、その超える部分の金額(以下「雑損失の金額」という。)は、その者のその年分の課税標準から控除する。
(1)対象とならない資産
①生活に通常必要でない資産
②棚卸資産
③不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産及び繰延資産
④山林
(2)損失の金額
 損失の金額は、その損失発生直前におけるその資産の価額を基礎として計算し、上記のやむを得ない支出をした金額を含み、保険金等により補てんされる部分の金額を除く。
(3)足切限度額
①原則 課税標準の合計額の10%相当額
②災害関連支出の金額が5万円を超える場合
 損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち5万円を超える部分の金額を控除した金額と①の金額とのいずれか低い金額
③損失の金額が全て災害関連支出の金額である場合
5万円と①の金額とのいずれか低い金額

2 控除の順序
(1)所得控除のうちに雑損控除がある場合には、まず雑損控除を行うものとする。
(2)雑損控除額は、総所得金額、措置法の課税標準、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。

3 手続
 確定申告書の提出によりこの規定の適用を受ける場合には、控除額の計算の基礎となる金額その他一定の事項を証する書類を確定申告書に添付等しなければならない。

4 雑損失の繰越控除
 その年に生じた雑損失の金額のうちその年分の課税標準から控除しきれない部分の金額は、申告を要件に、その年の翌年以後3年間にわたって繰越し、課税標準の計算上控除する。

5 災害減免法との関係
 災害により、居住者又は上記1の親族の所有する住宅又は家財に甚大な被害を受け、かつ、その年分の災害減免法に規定する合計所得金額が1,000万円以下である居住者については、雑損控除に代えて、災害減免法により所得税の軽減又は免除を受けることができる。

6 災害の意義
 災害とは、震災その他の自然現象の異変による災害及び火災その他の人為による異常な災害並びに害虫その他の生物による異常な災害をいう。

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