(趣旨)
貸金等の貸倒損失は避けがたく、また会計慣行との調整から、別段の定めにより貸倒引当金の設定が認められている。
1 個別評価貸倒引当金
(1) 内容
不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権で、その一部につき貸倒れその他一定の事由による損失が見込まれるもの(以下「個別評価貸金等」という。)のその損失の見込額として各年(事業を廃止等した日の属する年を除く。以下同じ。)において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち、その年12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の時。以下同じ。)において計算した繰入限度額に達するまでの金額は、その者のその年分のこれらの所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
ただし、死亡した場合で、相続人が事業を承継しなかったときは、適用しない。
(2) 繰入限度額
① 更生計画認可の決定等により、弁済を猶予等される場合
その貸金等の額のうち、その事由発生年の翌年1月1日から5年以内に弁済される金額以外の金額(抵当権等による担保部分の金額を除く。)相当額
② 債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続していること等により、その一部につき取立等の見込がないと認められる場合
その一部の金額相当額
③ 債務者につき、更生手続開始の申立て等の事由が生じた場合等
その貸金等の額(実質的に債権とみられない部分の金額及び抵当権等による担保部分の金額等を除く。)の50%相当額
2 一括評価貸倒引当金
(1) 内容
青色申告者で事業所得を生ずべき事業を営むものが、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権の貸倒れによる損失の見込額として、各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち、その年12月31日において計算した繰入限度額に達するまでの金額は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
ただし、死亡した場合で、相続人が事業を承継しなかったときその他一定の場合は、適用しない。
(2) 繰入限度額
その年12月31日において有する一括評価貸金の帳簿価額(実質的に債権とみられない部分の金額を除く。)の合計額の5.5%(金融業の場合は3.3%)相当額
3 申告要件
この規定は、確定申告書に必要経費算入に関する明細の記載がある場合に限り適用する。
ただし、宥恕規定がある。
4 総収入金額算入
不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その繰入年の翌年分のこれらの所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
2013年1月20日日曜日
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