2013年1月5日土曜日

相続税理論 : 相続税法の相続時精算課税

1 相続時精算課税の選択
(1) 内容
 贈与により財産を取得した者が贈与者の推定相続人(その贈与者の直系尊属でその年1月1日において20歳以上であるものに限る。)であり、かつ、その贈与者が同日において65歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、相続時精算課税の規定の適用を受けることができる。
(2) 相続時精算課税選択届出書の提出
 (1)の規定の適用を受けようとする者は、贈与税の期限内申告書の提出期間内に相続時精算課税選択届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(3) 相続時精算課税選択届出書の効力
① 特定贈与者からの贈与により取得する財産については、相続時精算課税選択届出書に係る年分以後、下記2の規定により、贈与税額を計算する。
② その年1月1日において20歳以上の者が同日において65歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合にその年の中途においてその者の養子となったことその他の事由によりその者の推定相続人となったときには、推定相続人となった時前にその者からの贈与により取得した財産については、(1)の規定の適用はないものとする。
③ 相続時精算課税適用者が、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合においても、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、①の規定の適用があるものとする。
④ 相続時精算課税適用者は、相続時精算課税選択届出書を撤回することができない。

2 相続時精算課税に係る贈与税額の計算等
(1) 贈与税の課税価格
 相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産を合計し、それぞれの合計額をもって、贈与税の課税価格とする。
(2) 贈与税の特別控除
① 内容
 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次の金額のうちいずれか低い金額を控除する。
イ.2,500万円(既にこの規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
ロ.特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
② 手続
イ.①の規定は、贈与税の期限内申告書に次の事項の記載がある場合に限り、適用する。
(イ)控除を受ける金額
(ロ)既に控除した金額がある場合の控除した金額
(ハ)その他一定の事項
ロ.イの規定の適用については、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、この限りでない。
(3) 贈与税の税率
 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに、(1)の規定により計算された贈与税の課税価格((2)①の規定の適用がある場合には、控除後の金額)にそれぞれ100分の20の税率を乗じて計算した金額とする。

3 相続時精算課税に係る相続税額の計算等
(1) 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した場合
 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、相続時精算課税適用財産(その年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額をもって、相続税の課税価格とする。
(2) 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合
① 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については、相続時精算課税適用財産をその特定贈与者から相続(その相続時精算課税適用者がその特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなして相続税を課する。
② ①の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税価格に算入される財産の価額は、その贈与の時における価額による。
(3) 納付税額の計算
 (1)又は(2)の場合において、相続時精算課税適用財産につき課せられた贈与税があるときは、相続税額(相続税額の加算から在外財産に対する相続税額の控除までの規定を適用した後の金額)からその贈与税の税額(在外財産に対する贈与税額の控除適用前の税額とし、附帯税に相当する税額を除く。)に相当する金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。

4 相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等
(1) 特定贈与者の死亡以前に死亡した場合
 特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の規定の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継する。
 ただし、その相続人のうちにその特定贈与者がある場合には、その特定贈与者は、その納税に係る権利又は義務については、これを承継しない。
(2) 相続時精算課税選択届出書の提出前に死亡した場合
① 贈与により財産を取得した者(以下「被相続人」という。)が上記1の規定の適用を受けることができる場合に、その被相続人が相続時精算課税選択届出書の提出期限前にその届出書を提出しないで死亡したときは、その被相続人の相続人(その贈与者を除く。以下同じ。)は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内(注)に、その届出書をその被相続人の納税地の所轄税務署長に共同して提出することができる。
② ①の規定により相続時精算課税選択届出書を提出した相続人は、被相続人が有することとなる相続時精算課税の規定の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継する。

(注)その者が納税管理人の届出をしないでその期間内に法施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、その住所及び居所を有しないこととなる日まで

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