2017年1月20日金曜日

売上計上漏れと重加算税


税務調査において、売上計上漏れが発覚した場合、必ず重加算税が課されると

聞いたのですが、本当なのでしょうか。

重加算税の規定は、
第六八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第五項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

となっていますから、隠ぺいや仮装がなければ、重加算税を課されることはないということですね。

つまり、いくら売上計上漏れとなった原因が単純なミスであれば、

隠ぺいや仮装には該当しないのであるから、重加算税の対象にならないということです。


では、一体隠ぺいや仮装という行為は、具体的にどのように定義されているのでしょうか。

国税庁の通達により、以下のように定義されています。

(隠ぺい又は仮装に該当する場合) 
1 通則法第68条第1項又は第2項に規定する「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」とは、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう
  1. (1) いわゆる二重帳簿を作成していること。
  2. (2) 次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。
    1. 1 帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿していること
    2. 2 帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っていること
    3. 3 帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること
  3. (3) 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。
  4. (4) 簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
  5. (5) 簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。
  6. (6) 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。

結局、こうした事実を税務署側で証明できない限りは、重加算税などはかけてはならない

ということですね。こんな行為をしている人は、そんなにいないと思うので、重加算税なんか

ほとんどかけられないはずです。

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