1.欠損金
(1)欠損金の意義
欠損金とは、各事業年度の所得の金額の計算上その事業年度の損金の額が
その事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
(2)青色欠損金の繰越控除
①適用要件
イ.適用事由 ・・・ 前7年以内に生じた欠損金額があること
ロ.手続 ・・・ ① 欠損事業年度について青色申告書を提出していること。
② 欠損事業年度から繰越控除年度まで連続して確定申告書を
提出していること
(注)欠損事業年度以外の事業年度は、青色申告書の提出は要件となっていない。
②損金算入額
イ.繰越欠損金額 ・・・ ①青色欠損金であれば、原因事実は問わない。
②すでに前期以前に控除対象となったもの及び
欠損金の繰り戻し還付の計算の基礎となったものを除く。
ロ.別表4差引計 ・・・ 欠損金の損金算入前の所得金額
ハ.損金算入額 ・・・ イとロのいずれか少ないほうの金額(差引計の下で減算)
(3)租税回避行為の防止
①欠損等法人の欠損金の繰越の不適用
イ.制度の内容
欠損等法人(※1)が、特定支配日(※2)直前に事業を営んでおらず、
特定支配日以後5年を経過した日の前日までに事業を開始する等の事由に
該当する場合には、その該当することとなった日の属する事業年度前に生じた
欠損金額については青色欠損金の繰越控除の規定は適用しない。
(※1)欠損等法人
内国法人で他の者との間に当該他の者による特定支配関係を有する
こととなったもののうち、特定支配事業年度(その特定支配関係を有する
こととなった日の属する事業年度。)において、その特定支配事業年度前
の各事業年度に生じた欠損金額(又は評価損資産)を有するものをいう。
(※2)特定支配日
特定支配関係(他の者がその内国法人の発行済株式等の50%超を保有
する関係その他一定の関係をいう。)を有することとなった日をいう。
②欠損等法人の資産の譲渡等損失額の損金不算入
イ.制度の内容
欠損等法人が、特定支配日直前に事業を営んでおらず、特定支配日以後5年を
経過した日の前日までに事業を開始する等の事由に該当する場合には、その該当
することとなった日の属する事業年度開始の日から3年を経過する日(その経過
する日が特定支配日以後5年を経過する日後となる場合には、同日。)までの
期間において生ずる特定資産に係る譲渡等損失額は、欠損等法人の各事業年度
の損金の額に算入しない。
(3)災害損失金の繰越控除
①適用要件
イ.適用事由 ・・・ 前7年以内に生じた欠損金額のうち、災害により生じた損失
に係るもの(災害損失欠損金額)があること。
ロ.手続 ・・・ ①災害事業年度について災害損失の額の計算明細を記載した
確定申告書を提出していること。
②災害事業年度から繰越控除年度まで連続して確定申告書を
提出していること。
②損金算入額
イ.繰越欠損金額 ・・・ ①災害事業年度の欠損金額のうち災害損失金額からなる金額
(災害損失欠損金額)
②青色欠損金額は除く。
ロ.別表4差引計 ・・・ 災害損失欠損金額の損金算入前の所得金額
ハ.損金算入額 ・・・ イとロのいずれか少ないほうの金額(差引計の下で減算)
(注)最も古い事業年度に生じた欠損金額から順次控除する。
(4)債務免除等があった場合の欠損金の損金算入
①損金算入の対象となる欠損金
前期以前から繰り越された欠損金額の合計額 - 当期の青色欠損金・災害損失金
②会社更生法による場合
イ.適用要件
適用事由 ・・・ 内国法人について会社更生法又は金融機関等の更正手続の
特例等に関する法律(会社更生法等)による更生手続開始の決定
があった場合において下記の場合に該当するとき
・ 一定の債権者から債務の免除を受けた場合等
・ 役員若しくは株主等又はこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を
受けた場合
・ 会社更生法等に従って資産の評価替えをした場合
手続 ・・・ 確定申告書に欠損金額の損金算入に関する明細の記載及び一定書類
の添付があること。宥恕規定あり。
ロ.損金算入額
①欠損金額 ・・・ 繰越欠損金の合計額 - 当期の青色欠損・災害損失金
② 債務免除益等 ・・・ 債務免除益、受贈益、評価益-評価損(△の場合0)
の合計額
③損金算入額 ・・・ ①と②のいずれか少ない金額(差引計の下で減算)
③民事再生法による場合
イ.適用要件
適用事由 ・・・ 内国法人について民事再生法による再生手続開始の決定があっ
たこと等の事実が生じた場合において下記の場合に該当するとき
・ 一定の債権者から債務の免除を受けた場合等
・ 役員若しくは株主等又はこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を
受けた場合
・ 民事再生法等による評定を行った場合
手続 ・・・ 確定申告書に欠損金額の損金算入に関する明細の記載及び
一定書類の添付があること。宥恕規定あり。
ロ.損金算入額
(イ)民事再生法等による評定を行った場合
①欠損金額 ・・・ 繰越欠損金額の合計額 - 当期の青色欠損・災害損失金
②債務免除益等 ・・・ 債務免除益等、受贈益、評価益-評価損(△あり)
の合計額
③別表4差引計 ・・・ この規定適用前の所得金額
(青色欠損・災害損失金控除前)
④損金算入額 ・・・ イ~ハのいずれか少ない金額(差引計の下で減算)
(ロ)民事再生法等による評定を行っていない場合
①欠損金額 ・・・ 繰越欠損金額の合計額 - 当期の青色欠損・災害損失金
②債務免除益等 ・・・ 債務免除益等、受贈益の合計額
③別表4差引計 ・・・ この規定適用前の所得金額
(青色欠損・災害損失金控除後)
④損金算入額 ・・・ イ~ハのいずれか少ない金額(差引計の下で減算)
(5)欠損金の繰り戻し還付
①適用要件
イ.適用事由 ・・・ 当期に生じた欠損金額があること。
ロ.手続 ・・・ ①欠損事業年度(当期)について青色申告書を提出していること。
②還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで(※)
連続して青色申告書を提出していること。(※)1年未満決算法人
③欠損事業年度の青色申告書をその提出期限までに提出し、
還付請求書を提出すること。
②還付請求できる金額
欠損事業年度の欠損金額
還付所得事業年度の法人税額(注) × ―――――――――――――――
還付所得事業年度の所得金額
(注)差引所得に対する法人税額+控除税額(控除所得税額+控除外国税額)
③適用停止
この規定は、次の場合を除き、その適用が停止されている。
イ.解散事業年度等
ロ.普通法人のうち、期末資本金の額が1億円以下であるもの
(期末資本金の額が5億円以上である法人との間にその法人による完全支配関係が
あるものを除く。)
ハ.その他一定の法人
2010年12月11日土曜日
お腹の調子が悪い
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