税務署から申告書の提出がない旨の通知のはがきが届いたとの連絡を受けました。
以前にみなし解散されてしまった会社の社長さんからだったのですが、4月1日から
12月13日の事業年度の申告書が出ていないとのことでした。
税務署に問い合わせて確認してみたところ、解散をしたい後の事業年度は、解散の翌日から
1年間の事業年度となっており、事業継続をしたとしても事業年度変更をしない限り、
決算の日は変わらないとの回答でした。
なんか変だなぁと思い、条文を確認してみました。
基本的に事業年度というのは、法13条により、通常法人の定款に定められている事業年度
となりますね。しかし、解散をした場合には、法14条1項1号により、
事業年度開始の日から解散の日までと
解散の日の翌日から事業年度終了の日までの
2つの事業年度をそれぞれ事業年度とみなすこととなっております。
ここで、事業年度開始の日というのは、当然、法人の定款に定められている事業年度の
開始の日であるのですが、事業年度終了の日っていうのは、定款の事業年度終了の日じゃなく、
清算事務年度の終了の日ということが通達1-2-9で示されています。
つまり、清算中の法人の事業年度=清算事務年度ってことなんですね。
次に、解散した清算中の法人が、継続された場合ですが、法14条1項22号により、
事業年度開始の日から継続の日の前日までと
継続の日から事業年度終了の日までの
2つの事業年度をそれぞれ事業年度とみなすこととなっています。
この場合の事業年度開始の日っていうのは、清算中の法人の事業年度開始の日なので、
清算事務年度の開始の日になりますよね。
一方で事業年度終了の日っていうのは、清算事務年度の終了の日となるのか、
定款の事業年度の終了の日となるのか、少々悩ましいところではありますが、
継続した後の法人は、清算中の法人ではないため、事業年度=定款の事業年度ってこと
ですので、事業年度終了の日は定款の事業年度終了の日であることは明らかです。
さらに、その後の事業年度というのは、みなし事業年度の規定の適用はなく、
通常の事業年度の規定が適用されることとなるため、定款の事業年度となるはずです。
法人税法第13条(事業年度の意義)
第1項
この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。
法人税法第14条(みなし事業年度)
第1項
次の各号に規定する法人(第五号から第七号までにあつてはこれらの規定に規定する他の内国法人とし、第八号、第十二号、第十三号及び第十五号にあつてはこれらの規定に規定する連結子法人とし、第十一号及び第十六号にあつてはこれらの規定に規定する連結法人とし、第十四号にあつては同号に規定する連結親法人とする。)が当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなす。
第1号
内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をした場合 その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日までの期間
・
・
・
第22号
清算中の内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において継続した場合 その事業年度開始の日から継続の日の前日までの期間及び継続の日からその事業年度終了の日までの期間
(株式会社等が解散等をした場合における清算中の事業年度)
1-2-9 株式会社又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下1-2-9において「株式会社等」という。)が解散等(会社法第475条各号又は一般法人法第206条各号《清算の開始原因》に掲げる場合をいう。)をした場合における清算中の事業年度は、当該株式会社等が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項又は一般法人法第227条第1項《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるのであるから留意する。(平19年課法2-3「三」により追加、平20年課法2-5「三」により改正)