繰越欠損金の控除限度額の続きです。
大法人は繰越欠損金を一定割合しか使うことができません。(以下参照)
繰越控除の限度額
- 平成24年4月1日から平成27年3月31日開始事業年度・・・100分の80
- 平成27年4月1日から平成28年3月31日開始事業年度・・・100分の65
- 平成28年4月1日から平成29年3月31日開始事業年度・・・100分の60
- 平成29年4月1日から平成30年3月31日開始事業年度・・・100分の55
- 平成30年4月1日から開始事業年度・・・100分の50
新設法人や会社更生手続開始決定等の事由が発生した法人については、
この制限をしない特例期間が設けられています。
新設の日又は手続開始決定の日から7年を経過する日の属する事業年度までは、
発生した所得の全額を繰越欠損金で控除することができます。
しかしながら、一定の事由が発生した場合には、その事由が生じた日の属する事業年度以降は
この規定の適用がなく、繰越欠損金の控除額に制限が設けられることとなります。
一定の事由とは、上場することや更生計画等により事業の再生が図られたと認められることを
いいます。具体的には、計画上で規定されている弁済期間が終了したり、免除を受けて
全ての債務が消滅したような場合です。
例えば、期首近くに手続開始決定があり、期末までに計画認可決定があり、
債務の全額が免除されたような場合には、再生が図られたと認められるため、
その年度に控除額に制限が入るということとなります。
一方で免除益部分については、全額控除ができるということなので注意が必要です。
こちらについては、昨日の内容となりますね。
例えば、平成30年4月1日開始の事業年度において、
免除益が10発生していて、それ以外で6の所得が発生しており、
所得合計は、16である場合に、繰越欠損金が20あったとします。
免除益の10については、全額繰越欠損金の控除適用できますが、それ以外の所得6は、
控除限度額(6×50%=3)までしか控除できません。
ですので、16 - (10+3) = 3 に対して、法人税が課せられることとなります。